コエンザイムQ10の健康美容効果

健康を守るコエンザイムQ10の働き

健康を守るコエンザイムQ10

人の生命維持活動に欠かせない炭水化物や脂質などのエネルギー源は、体内に吸収された後、細胞内に存在するミトコンドリアによって体内のエネルギーである「ATP(アデノシン3リン酸)」に作り換えられます。
つまり、食事から摂り入れた脂質や糖質などは、ATPに作り換えられなければエネルギーとして消費されないので、消費されなかった脂質や糖質は脂肪として蓄積してしまいます。
そこで重要な働きを担っているのがコエンザイムQ10です。
コエンザイムQ10はミトコンドリアの働きをサポートすることで、摂り入れたエネルギー源を積極的にATPに作り換えます。
ATPが活発につくられることで、脂肪の蓄積を防ぐだけでなく、疲労回復をスムーズにしたり、新陳代謝を活性化したり、血液循環を促したりします。

また、コエンザイムQ10は活性酸素を無害化する抗酸化作用も持っています。
活性酸素は体内に侵入してきた細菌やウイルスを攻撃してくれる働きを担っているのですが、ストレスや激しい運動、喫煙や紫外線などによって過剰生成されると、健康な細胞まで酸化させてしまうのです。
コエンザイムQ10は増えすぎた活性酸素を除去するだけでなく、ビタミンEやビタミンCなど体内で働く抗酸化物質の働きを強化する作用も持っていますので、より強力な抗酸化作用が期待できます。

このように、コエンザイムQ10は体内のエネルギー生産を活発にするだけでなく、活性酸素によるダメージを軽減する働きも持っています。
では、これらの働きがどのように私たちの体を守ってくれるのでしょうか?

「生活習慣病」から体を守る

生活習慣病はその名前の通り、偏った食事や喫煙、飲酒、ストレスの蓄積などによって引き起こされる生活習慣の乱れによって生じる疾患のことです。
生活習慣病の代表的なものには、高血圧、糖尿病、肥満、高脂血症、動脈硬化などがあります。
生活習慣病はハッキリとした自覚症状がないことから、気付いたときには心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気に進行している恐れがあります。
コエンザイムQ10には生活習慣病から体を守る働きがあります。

高血圧への有効作用

血液が流れるときに血管にかかる圧力のことを「血圧」と呼びます。
血圧が高くなると血管への負担が大きくなり、血管が損傷しやすくなったり、血管が衰えやすくなります。
血管が衰えると、血栓ができやすくなったり、血流が悪くなったりして、さらに血圧が高くなります。
血圧が高くなる原因に活性酸素があります。
活性酸素は血中の悪玉コレステロールと結びついて過酸化脂質を作り出します。
過酸化脂質ができると、血栓がつくられやすくなり動脈硬化が悪化します。
動脈硬化が悪化すると血流が悪くなり、血圧が高くなります。
コエンザイムQ10には活性酸素を除去する抗酸化作用がありますので、過酸化脂質の生成を予防することで動脈硬化の進行を防ぎ、血圧の上昇を抑制します。

糖尿病への有効作用

血中のブドウ糖が増えすぎた状態が長期的に続くと糖尿病になります。
通常であれば、血中の糖はインスリンよってエネルギーへと変換されるのですが、加齢や生活習慣の乱れなどによってインスリンの分泌や作用が低下すると、血中の糖は上手くエネルギー変換されず、血液に溜まってしまうのです。
コエンザイムQ10は摂り入れた糖質や脂質などのエネルギー源を効率よくATPへと変換する働きがあります。
つまり、摂り入れた糖を積極的にエネルギーに変換することでインスリンの働きを助けてくれるのです。

肥満への有効作用

「太っている人」と「肥満の人」は同じではありません。
太っている人は見た目や体重などで判断されますが、肥満の人は見た目や体重ではなく体脂肪の多さで判断されます。
日本肥満学会ではBMI25以上の方を「肥満」と判定しています。
肥満の恐ろしいところは合併症の多さです。
肥満によって想定される合併症は、糖尿病、高脂血症、高血圧症、虚血性心臓病、脂肪肝、胆石症などがあります。
コエンザイムQ10はミトコンドリアの働きをサポートすることで、脂肪のエネルギー変換を活発にしますので、脂肪の蓄積を防ぎます。
また、コエンザイムQ10によってエネルギー生産効率が上がると、代謝も活性化されますので、脂肪燃焼効果も高まります。

高脂血症への有効作用

血中の悪玉コレステロールや中性脂肪が過剰に増えると高脂血症になります。
高脂血症になると、血管内に悪玉コレステロールや中性脂肪が蓄積され、動脈硬化が進行します。
コエンザイムQ10には、脂肪のエネルギー消費を活発にするだけでなく、悪玉コレステロールの酸化を防ぐ抗酸化作用もあります。
また、コエンザイムQ10は代謝を活性化することで、血液循環を良くする働きもあります。血液をサラサラにすることで悪玉コレステロールや中性脂肪の蓄積を防ぎます。

「免疫力の低下」から体を守る

体内でエネルギー不足が生じると、身体のあらゆる器官や組織の機能も低下しますので、免疫力が低下します。
免疫力が低下すると、風邪やインフルエンザにかかりやすくなるだけでなく、肌トラブルを招いたり、怪我や病気の回復を遅らせます。
コエンザイムQ10はエネルギー生産効率を高めることで、体内のエネルギーであるATPを活発に作ります。
ATPがたくさん作られることでエネルギー不足を予防・改善することは、免疫力の低下を予防し、向上へと促します。
また、人の免疫機能の約60%は腸管に存在していますので、腸内環境が乱れていたり、腸の機能が低下していたりすると免疫力も低下します。
コエンザイムQ10は、エネルギー生産効率を高めることで全身の細胞を活性化する働きがあります。
全身の細胞が活性化すると、腸の新陳代謝も活発になりますので、古い細胞と新しい細胞の生まれ変わりがスムーズに行われます。
その結果、腸の働きが活発になり、腸内環境が整うことで、免疫力向上へと促します。
さらに、コエンザイムQ10は心臓に多く存在していますので、積極的に摂ることで心臓のコエンザイムQ10濃度を高めます。
心筋のエネルギー生産が活発になると、血液が全身に行き渡るだけでなく、全身に届けられる血液量も増えます。
全身に血液が行き渡ることで体内でつくられた熱も一緒に届けられますので、体温の低下を防ぎます。
体温は1℃下がると免疫力が30%も下がるといわれていますので、体温を維持することで免疫力の低下から体を守ります。

「ストレス」から心身を守る

心身の疲労やストレスから体を回復するのは食事による栄養補給と睡眠です。
人の体は質の良い睡眠が得られるほど「成長ホルモン」が活発に分泌されることが判っています。
成長ホルモンとは、その名の通り身体の成長や再生、修復を促す大切なホルモンです。
眠っている間に成長ホルモンが活発に分泌されるほど心身の疲労が回復しやすくなります。
心身の疲労やストレスから体を回復するためには、質の良い睡眠をとって成長ホルモンの分泌を活発にすることが重要なのです。
しかし、睡眠の質を低下させるものがあります。
それは「いびき」です。いびきは睡眠中に上気道で発生する振動音のことです。
いびきが生じる原因は人それぞれですが、振動音が出る要因は喉周辺の筋肉の緩みにあるといわれています。
喉周辺の筋肉が弛緩して、空気の通り道が狭くなることでいびきが生じてしまうのです。
いびきが直接的に睡眠の質を低下させるわけではありませんが、いびきを繰り返すことで喉の粘膜が渇いたり、空気の刺激にさらされたりすることで、質の良い睡眠がとりにくくなります。
コエンザイムQ10には弛緩した筋肉に直接働きかける作用があります。
弛緩した筋肉が整うことで、狭くなった気道を確保し、いびきを改善へと促します。
いびきが改善されると、質の良い睡眠がとりやすくなりますので、心身の疲労や回復効果が高まります。

さらに、コエンザイムQ10はストレスの悪化によって生じる自律神経失調症やうつ病を予防する働きもあります。
人の体は強いストレスを感じると身体を守るために脳内で「コルチゾール」というストレスホルモンを分泌させます。
コルチゾールによってストレスを緩和させているのですが、コルチゾールが分解される際「ヒドロキシルラジカル」という活性酸素が大量に発生します。
ヒドロキシルラジカルは心を安定させる神経伝達物質「セロトニン」の分泌を低下させます。
セロトニンは嬉しい気持ちや幸福感をもたらすことから、別名「幸せホルモン」とも呼ばれています。
自律神経失調症やうつ病の一因はセロトニン不足と考えられていますので、ヒドロキシルラジカル、つまり活性酸素がうつ病を引き起こすといってもよいでしょう。
コエンザイムQ10は活性酸素を除去するだけでなく、同じく抗酸化物質であるビタミンEやビタミンCの働きをサポートしますので、強力な抗酸化力によってヒドロキシルラジカル発生を抑制します。
この働きにより、セロトニン不足を予防することで、自律神経失調症やうつ病を予防します。

「脳疲労」から脳を守る

脳は人の体の約2%しか占めていないにもかかわらず、そのエネルギー消費量は全体の20~30%も占めています。
エネルギー消費量が多いということは、その分栄養や酸素が必要な場所であるということです。
ですから、エネルギー不足に陥ると、脳の疲労も溜まりやすくなり、栄養や酸素が上手く行き渡らなくなります。すると、思考力や記憶力、集中力ややる気も低下します。
コエンザイムQ10によって体内のエネルギー不足を防ぐことで、脳疲労の回復をスムーズにします。
また、酸素がたくさん使われるということは、活性酸素の発生も多いということになります。そして、脳の組織を構成している成分のほとんどは脂肪なので、活性酸素と結びつきやすい場所でもあります。
活性酸素と脂肪が結びつくと「過酸化脂質」という刺激物を生成します。
過酸化脂質が血管内に蓄積すると、血液の流れが滞り、血栓ができやすくなります。
その結果、動脈硬化を悪化させるだけでなく、最悪の場合脳梗塞を引き起こす可能性もあります。
脳梗塞は血管が詰まり、脳の働きが著しく低下することで起こります。
活性酸素によって過酸化脂質がつくられると、血液がドロドロになったり詰まりやすくなったりします。
コエンザイムQ10の抗酸化作用によって過酸化脂質の生成を防ぐことは、脳梗塞のリスクを下げることにも繋がります。

「肌老化」から肌を守る

肌老化を引き起こす要因の一つにターンオーバーの乱れがあります。
正常なターンオーバーが繰り返されていれば、古い肌細胞と新しい肌細胞の生まれ変わりがスムーズに行われますので、健やかな肌を維持できます。
しかし、生活習慣の乱れやストレス、代謝の低下などによってターンオーバーが乱れると、古い細胞と新しい細胞の入れ替えが上手く行われなくなります。
すると、シミやそばかすの原因となるメラニン色素が排出されずに色素沈着したり、肌表面の角質が硬くなって肌が乾燥したり、シワやたるみを引き起こしたりします。
コエンザイムQ10は体内のエネルギー生産効率を上げることで代謝を高めます。
代謝が上がると新陳代謝も促されますので、ターンオーバーも正常化しやすくなります。

さらに、コエンザイムQ10は活性酸素を除去する抗酸化作用もあります。
活性酸素は本来、体内に侵入してきた細菌やウイルスを攻撃する働きがあるのですが、過剰に発生すると正常な細胞や遺伝子までも傷つけます。
活性酸素によって細胞が傷つけられると新陳代謝が滞るだけでなく、肌のうるおいや弾力を維持しているコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどの成分を酸化させ、破壊します。
うるおい成分が失われることで、シワやたるみ、ほうれい線などを引き起こします。
ほかにも、活性酸素は皮脂を酸化させて過酸化脂質を作り出すことで、毛穴の黒ずみを悪化させたりヒアルロン酸を減少させたりします。
コエンザイムQ10によって増えすぎた活性酸素を除去することで、肌のうるおいを守るだけでなく、シワやたるみ、ほうれい線などの肌老化を予防します。

「歯周病」から歯を守る

口の中には約500種類の細菌が住んでいるといわれています。
通常であればこれらの細菌が悪さをすることはないのですが、歯磨きが不十分であったり、糖を過剰に摂取したりすると、細菌が悪さをしてプラーク(歯垢)を作ります。
1mgのプラークの中には約10億個もの細菌が住み着いているといわれています。
プラークが増えると歯周病を引き起こします。
歯周病になると、プラークに住み着く細菌感染によって歯肉に炎症が起きたり、腫れたりします。
歯周病が悪化すると、歯を支えている骨が溶けて、抜歯をしなければならなくなります。
実は、歯周組織にもコエンザイムQ10は存在しています。
コエンザイムQ10によってエネルギー生産が活発になると、免疫機能が高まるだけでなく唾液の分泌も促進されますので、歯周組織が強化されます。
また、コエンザイムQ10が持つ抗酸化作用によって歯周病菌の働きを抑制することで、歯周病のリスクを下げます。

このように、コエンザイムQ10はあらゆる角度から体を守る働きがあります。
しかし、体内で生成されるコエンザイムQ10は年齢とともに減少していきますので、食品から積極的に摂取することが大切です。
コエンザイムQ10には酸化型と還元型の大きく2種類あるのですが、人の体内で利用されるコエンザイムQ10のほとんどは「還元型のコエンザイムQ10」ですので、還元型のコエンザイムQ10がおすすめです。
コエンザイムQ10を補充して、健康を守りましょう。

【参考文献】
コエンザイムQ10の体内での役割り
http://kouguya.nikita.jp/role-in-body.html